スキルス胃がん+転移性肝がんの治療を、同じ病院、同じ主治医で2年間続けています。主治医のアドバイスがなかったら、2年間治療を続けてこれなかったと思います。
これまで私が主治医とどんなつき合い方をしてきたのか、どんなコミュニケーションをしてきたのか、まとめです。
- 私の主治医について
- 主治医とのつき合い方、コミュニケーション方法など
私の主治医について
主治医との出会い
2016年3月、私は吐血をして輸血+入院をしました。その翌月、生検や検査の結果、肝臓へ転移したステージ4のスキルス胃がんとわかり、余命半年と宣告されました。
主治医はその病院(がん診療連携拠点病院)に勤務する医師のひとりで、最初から担当していただいた先生です。主治医が受け持っている患者は数十人いて、私はその中のひとり「患者A」に過ぎません。
主治医の特徴
- ウソがない
- ハッキリ言う
- 即答する
私の主治医はつねに冷静で、この3つの特徴を持っています。できないことはできないと言うし、ヘンに期待を持たせるような表現をしたこともありません。冷たいというわけではなく、笑顔が素敵なクールな先生です。
記憶力も高く、過去の診察内容をほぼ正確に覚えています。検査結果を注意深く比較しながら判断していくスピードもすごく速いです。
主治医を選んだ理由
がんは、糖尿病や高血圧症と同じ「生活習慣病」に分類されている病気です。基本的に「治らない」とされるグループの病気で、いい体調をキープ(コントロール)しながら一生つき合う「慢性疾患」。そのため、主治医とは長いおつき合いになります。
主治医は私や嫁に説明するとき、むずかしい専門用語を使いません。また、わからない言葉があれば、その場で意味を聞くようにしています。
- むずかしい専門用語を使わない
- 説明してもらった内容がわかる
- 具体的に行動できるようになる
- 治療に集中でき、頑張ろうと思える
「頑張ろう」と思えること。これが主治医を選んだ理由です。
私と嫁は、これまで何度か心が折れています(緊張の糸が切れる、やる気がなくなる)。それでも治療を続けてこれたのはこの先生と一緒に頑張ろうと思えたからで、とても大切なことだと私は思います。
主治医とのつき合い方、コミュニケーション方法など
私が大切にしていること
がんは慢性疾患で、主治医とは長いおつき合いになります。主治医にしっかり体を診てもらおうと思ったら、「この患者を全力で診よう」と思ってもらえる人間関係の積み重ねが必要と考えました。
- 約束を守る
- 話しをよく聴く
この2つは、いろいろある中でもとくに大切にしています。言い換えると、行動で応えるようにしています。あたり前のことをあたり前にすれば、特別なことをしなくても信頼関係はつくっていけると私は思っています。
また主治医は多くの胃がん患者を診てきて、どんな思考になり、どんな行動をし、どんな結果になったのかをよく知っています。話し(アドバイス)をよく聴くことは、本当に大切なことだと思います。
主体性をもって治療を続ける
私は寛解を目指して治療を続けています。極力依存せず、できることを増やして将来自立すること。がんを治すとは、こういうことだと考えています。
かんかい【寛解/緩解】
病気の症状が、一時的あるいは継続的に軽減した状態。または見かけ上消滅した状態。
引用 goo国語辞書
がんは遺伝の可能性が低い生活習慣病に分類されています。つまり胃がんになった私は、胃がんになりやすい生活をしていた人、または生活をしやすい人と言えます。
- 主治医は、がんを治す
- 私は、生活習慣を直す
私はいま、いい体調をキープすることだけを考え、自分に合った生活リズムに変え続けています。生活習慣は私しか変えられないし、もし寛解できたら、それが再発を予防する習慣にもなると考えているからです。
そんな自立した生活ができるように、私は主治医からたくさんのアドバイスをしてもらっています。
「いま、できること」を考えていく
私と主治医は、過去や未来についてほとんど話しません。
- なぜ胃がんになったのか?
- もし原因がわかっても慢性疾患で治らないし、過去に戻って人生をやり直すこともできないので意味がないと思います。
- 新しい治療方法は、いつ実用化されるのか?
- 実用化されるかどうかわからないことに期待して「いま、できること」に集中しなかったら、死んでしまうと思います。
なので治療は「いま」できる「最善の方法」を主治医と相談しています。
アスリートとコーチに似た関係
胃がんの標準治療には、主治医がいろいろな判断をする基本となる、多くの尊い命からつくられた貴重なガイドラインがあります。
もし主治医が私を家族のように思って治療すると、妥協して甘い判断になったり迷ってしまうこともあると思います。これは本当のやさしさ、思いやりではないと思うし、治療にはクール(冷静)な判断も必要と私は思ってます。
お互いクールな判断をするようなった結果、私と主治医は、世界を目指すアスリートとコーチやトレーナーのような関係になっていきました。嫁には、診察のことを「ミーティング」と言っています。
主治医とコミュニケーションしている方法
私は患者Aで、特別扱いはされていません。週に1回採血をし、1時間半ほど順番を待ち、診察時間は3~5分です。主治医は午前中(約4時間)だけで50~70人の患者を診ているので、この診察時間が限界です。
ノートに相談・質問したい内容をメモしておく方法はベタだけど、困っていることから改善・解決していく一番確実な方法です。
1回の診察で相談・質問する内容は、だいたい3つくらいまで。説明が少し必要な内容は、看護師さんにお願いして診察前にメモを主治医に渡すこともしています。主治医もアドバイスに集中できるようで、ものすごく充実した診察時間になっています。
【まとめ】考えたこと、やったこと
- わかりやすい言葉・内容で説明をする先生は、頑張ろうと思える。
- 主治医とは長いおつき合いになるので、信頼関係を大切にしていく。
- 主治医は胃がん患者がどんな思考・行動をし、どうなるかよく知っている。
- 極力依存せず、将来自立するために主体性をもってできることを増やす。
- 主治医と「いま、できること」を考え、過去や未来の話しはしない。
- 妥協して甘い判断にならないよう、治療にはクールな判断も必要。
- 思いつきで相談や質問せず、改善・解決したい内容をメモして聞く。
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