恐怖に負けない技術
私は偶然この本と出合い、死への恐怖・不安を克服するコツをつかむことができました。
この本のおかげで、冷静に集中し、淡々と自然体で行動することができるようになりました。無理やりポジティブになる必要もなく、今は本当に心がラクです。
- ざっくりとした本の内容
- この本の大切なポイント
- この本をおすすめする理由
- さらにステップアップできる本
恐怖に負けない技術
ざっくりとした本の内容
- 恐怖を生み出す心のメカニズム
- 感情が暴走している自分に気づく
- その気持ちを切り替える方法
恐怖とは、心の中で生みだした妄想です。コントロールできないことに対し、人は恐怖を感じます。唯一コントロールできるのは、「どんな気持ちで行動するか」だけです。
これを読み、自分が何に対して恐怖や不安を感じていたのかはっきり理解できた本です。妄想しやすい・感情が暴走しやすい思考に気づき、気持ちを切り替え、「今」「ここで」「自分が」できることに集中する。その方法とノウハウが書かれています。
この本の大切なポイント
自分が恐怖を感じている、恐怖がわき起こる思考をしているということに気づくスキルを磨くこと
(P.48)
漠然と恐怖を感じていることも多く、しっかりと自分の思考パターン(妄想)に気づけることが重要です。そのために13の思考パターンと、克服する・気持ちを切り替える方法が紹介されています。
- 未来思考
- この先、一体どうなるんだろう…という恐怖。
- 期待思考
- もし思い通りにならなかったら…という恐怖。
- 勝利思考
- もし負けたらどうしよう…という恐怖。
- 疑念思考
- もし裏切られたらどうしよう…という恐怖。
- 過去思考
- 新しいこと、はじめてのことに対する恐怖。
- 安定思考
- 変化する、環境が変わることに対する恐怖。
- 獲得思考
- もし失ったらどうしよう…という恐怖。
- 帰属思考
- 孤立してしまったらどうしよう…という恐怖。
- 比較思考
- もし他人と違ったらどうしよう…という恐怖。
- 評価思考
- もし低い評価だったらどうしよう…という恐怖。
- ポジティブ思考
- ネガティブになったらどうしよう…という恐怖。
- 成功思考
- もし失敗したらどうしよう…という恐怖。
- 結果思考
- 結果が出なかったらどうしよう…という恐怖。
つまり、○○思考の「○○」を強く思えば思うほど、同時に恐怖や不安も強く感じてしまう訳です。
こういった思考(恐怖の原因・矛盾)に気づき、マネジメントをしていく。そして、行動の質・集中力を上げていきます。これで私は、がんの恐怖・不安を克服するコツをつかむことができました。
マネジメントするとは、恐怖の感情を起こさないようにするのではなく、無理やり押さえつけるのでもなく、感情をコントロールするのでもありません。感情とうまくつき合って、心の状態を切り替えていくこと
(P.43)
著者「辻 秀一」さんについて
スポーツ心理学を応用し、独自の「辻メソッド」を展開するメンタルトレーナーであり、スポーツドクター。
シカゴ大学の心理学者チクセントミハイ教授を敬愛し、その教授が提唱する概念「フロー」をベースに、日本人に分かりやすいよう原始仏教や禅の話しを交えながら「心を整える方法」を教えている人。宗教臭さは一切ありません。
フローについて
フローとは、そのときしていることに集中し、完全にのめり込んでいる精神状態のこと。(「ゾーン」ということも)
結果よりも、ベストな状態で最善を尽くし、やりきって満足することで心が平和なることを目指します。もともとは仏教や道教で心・精神を磨く技術のひとつ。座禅をはじめ、剣道・柔道・書道・弓道等でも共通して会得する境地です。
この本を紹介するにあたって
この本をおすすめする理由
内容がシンプル
恐怖や不安を感じる理由と克服する考え方が、シンプルに書いてあります。(若干、くどい部分あり)
末期がんとわかってから数週間、私は恐怖、後悔、不安、悲観といった負の感情に心を支配されました。なにも考えることができず、大切な一日一日をムダに過ごしました。がんの告知は、それくらい強烈なインパクトがありました。
この状況で本を読んでも、ほとんど頭に入ってきません。そんな中、私の心に響き、目の前が明るくなった数少ない一冊です。
こんな人におすすめです
冷静になりたい人
がん患者にとって、メンタルの強化は必須のスキルです。
ちょっとした体調の変化で悪化・転移したと思い込み、もうすぐ死ぬ…と一日に何度も感情が暴走しました。この本では、こうした感情はすべて妄想とし、気持ちを切り替えるノウハウが書かれています。
まだ気持ちは落ち着いていないけど、感情の暴走を抑えて「今」に集中したい。そう思っている人には、冷静になるコツをつかむことができると思います。
この本が向いていない人
答えを求める人
この本に、具体的な行動の内容までは書かれていません。恐怖を感じる状況やタイミングは人それぞれで、とるべき行動も違います。どんな行動をすればいいのか答えを求める人には向いていない本です。
行動を、むずかしく考える必要はありません。自分がいいと思ったこと、やろうと思ったことを、先延ばし・後回しにせず「やってみよう」と今を大切にしていけばOKです。
またシンプルゆえに、理屈じゃない(ちょっと説明不足な)内容も含まれています。心理学に基づいた人間の本能として私は解釈しましたが、ここでは、そういうものだと理解するしかありません。
さらにステップアップできる本
「恐怖に負けない技術」の考え方が合う人、もっと詳しく知りたい人に、さらにメンタルを強化することができる一冊。この本では、妄想のことを「ムダな反応」と表現しています。
ブッダ(お釈迦さま)の説いた内容は、誰も逃れられない苦しみに気づき、ムダに反応せず、心を整えて抜けだすこと。心の反応に気づくことが悟ることで、実は苦しまずに生きる知恵(哲学・思想)だったことがよく分かる本です。
いきなり読むと、なかなか頭に入ってこないかもしれません。冷静さと集中力が戻ってきた人におすすめします。
【まとめ】考えたこと、やったこと
- 「恐怖に負けない技術」を読んだ。
- 自分が何に対して恐怖や不安を感じていたのか理解できた。
- 気持ちを切り替え、自然体で行動することができるようになった。
- 毎日やるべきことを積み重ねることができ、心がラクになった。
コメント
先日父が救急搬送され、私が職場から
病院に駆けつけた頃には検査の結果が
出ていました…。
複数転移の癌であり、もう手術のしよう
もないとの事…。
まだ本人には詳しい病状はあえて話して
はいませんが何時かは話さなければ
ならないしどう接すれば良いかも解らず
眠れずに癌患者の方々やご家族のブログをこんな時間まで拝見している次第です。
ブログの内容、凄く参考になります。
患者の方々の心情や経過を知る事で家族として少しでも癌という病気と向き合えればと思います。
ブログ主様の病状がこのまま更に良くなっていくよう、祈っています。
長文失礼致しました。
アスカさま
はじめまして、こんにちは。当ブログを運営・管理している平八郎と申します。
大変な状況にもかかわらず、ご丁寧なコメントをありがとうございます。温かいお言葉までいただき、とても励みになりました。
おっしゃる通り、がんは治療などもろもろの問題に加え、ご家族にまで精神的なダメージを与えます。
私は告知されたとき、過酷な闘病生活の末に壮絶な最後を迎えるイメージをしました。がん自体より、この漠然とした恐怖のほうが苦しかったです。
ところが、治療を開始して同じがん患者さんと接し、必ずしも「がん=壮絶な死」ではないことを知りました。治療方法は格段に進化し、一生つきあう慢性疾患になりつつある病気だと考えが変わりました。
お父さまが救急搬送された病院は、生検から複数の転移まですぐに結果が出ているので、設備や専門スタッフも充実している病院だと思います。今後の治療に問題があるとは思えません。
お父さまが、一日でも早く良くなることを切に願います。
いつでも、お気軽にコメントをくださいませ。今後ともよろしくお願いいたします。
平八郎