自立しようと頑張っているのに、なぜか孤立してしまう人を病院で何人も出会いました。
肝臓に転移したスキルス胃がんの治療を続けて2年半。どうすれば自立できるのか考えた結果、私たち夫婦が予想もしていなかったところに答えがありました。
- 自立について
- より自立するために考えたこと
自立について
自立とは
肝臓に転移したスキルス胃がんの治療を続けて2年半、どうすればがんを治し、自立して社会復帰できるのかずっと考えてきました。
そして、どう考えても、何回考えても、矛盾した答えが出るようになりました。
多くの人に支えてもらうと、自立して治療を続けることができる
この矛盾した答えは、たぶん間違っていないと思います。
この話しは、治療中は誰かに支えてもらい、その後自分の力で生活していくという単純な話しではありません。
自立しようとした結果
末期のスキルス胃がんとわかった当初、私と嫁はすべてのことに全力で頑張りました。その結果、あっさり限界を超え、疲れ果てて心が折れてしまいました。
自立どころか、できないこと、わからないことだらけで問題が山積みになっていました。
がんという病気について
がんは生活習慣病に分類され、基本的に「治らない」グループの病気です。定期的に治療・検査をし、体調をコントロールしながら一生つき合う「慢性疾患」です。
一般的に自立とは、だれにも頼らず自分の力で生きていくことです。医療のサポートなしに生きていけない私は、そもそも自立できないことが分かりました。
積極的にサポートをしてもらう
それから私たち夫婦は、積極的に多くの人からサポートをしてもらうようになりました。すると少しずつできることが増え、自分たちの力で生活できるようになっていきました。
つまり、だれかに支えてもらうことにより、はじめて自立することができた訳です。
多くの人に支えてもらうと、自立して治療を続けることができる
これは、私たち夫婦だけに起こった特殊なことではないと思います。
より自立するために考えたこと
病院で孤立する人たち
病院には本当にいろんな人がいます。とくに入院していたときは、ある程度一緒の時間を過ごすことになります。
その中で、あまりお見舞いが来ない人はだいたい孤立していました。
私は、その人のこれまでの人生をどうこう言うつもりはありません。ただ、その人たちは、看護師さんからも声をかけられている姿をほとんど見ませんでした。
世の中には、人の話を聞かない「頑固じじい」タイプの人がいます。この人たちは真面目で、社会的には優秀な人が多いような気がします。それゆえ、自立しようと一人で頑張れば頑張るほど孤立してしまう。そう私は感じています。
これは、闘病記などブログを読んでいても同じです。残念な気持ちになるブログは、極端に登場人物が少い、自己愛が強い、よく言い訳をする、なにかに文句ばかり言っていることが多いです。
自己愛とは自愛と正反対の言葉で、自分を愛せず妄想の中で陶酔するナルシシズムのこと。話しを盛ったりウソをつく「かまってちゃん」もこの一種です。また、がんの可能性があるのに生検や腫瘍マーカーの検査をしないブログ。公開する義務はないけど、治療方法や検査結果がよくわからないブログも不自然です。
Wikipedia 自己愛性パーソナリティ障害
人は一人で生きていけない
いまは本当に便利な世の中で、自宅でできる仕事も選べるし、宅配や通販をうまく使えば何でも手に入ります。だからといって、一人で生きていけるとは思えません。
身の回りにあるものは、誰かがつくったものばかりです。一人で生きていける訳ではなく、だれとも会わずに生きることもできる。そう私は思います。
積極的にサポートしてもらおうと思った2年前、心でつながり、本当に頼れる人(がんとカミングアウトできる人)は数人しかいませんでした。がん支援相談センターがなければ、私たち夫婦はここまで治療を続けられなかったと思います。
人とのつながりを、もっと大切にしないといけない。心からそう思いました。
より自立するために
自立とは、多くの人に支えてもらうことです。
そのため私は、お世話になる人の名前を「会ったその場で」覚えるようにしています。そして、あいさつや会話をするときは、相手の名前を添えるようにしています。
これは、「あなたは私にとって大切な人です」と意思を伝えるためです。
多くの人にサポートしてもらうには、本来ならサポートされるだけの人格を磨く必要があります。でもそんなことをしていたら、私はもうこの世にいなかったと思います。サポートしてもらいながら磨いていかないと、間に合いませんでした。
生きていく大切な知恵
心でつながることは、生きていくうえで大切な知恵と私は思います。
人は病気とか関係なく、老いてできないことが増えていきます。だれかに迷惑をかけるのはあたり前の話しで、できないことを支えてもらうのは、悪いことでも恥ずかしいことでもないと思います。
ピンチのとき、支えてもらえる相手がいること。その相手が、迷惑と感じていないこと。そして大切な人がピンチのときは、無条件に支えること。
そんな人間関係をつくっていけたらいいなと思います。
・がんが自然に治る生活をしましょう
・がんが治る食生活に変えましょう
・サプリを飲んで免疫力を上げましょう
と言って近づいてくる人にはご注意ください。
【まとめ】考えたこと、やったこと
- 多くの人に支えてもらうと、自立して治療を続けることができる。
- 自立しようと一人で頑張れば頑張るほど孤立してしまう。
- 人とのつながりを、もっと大切にしないといけない。
- 「あなたは私にとって大切な人です」と意思を伝える。
- 心でつながることは、生きていく大切な知恵。
- 病院は、これまでの人生が試される場所。

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