末期の「スキルス胃がん」+「転移性肝がん」で抗がん剤治療をはじめて1年以上。いま体調管理ができているのは、主治医と看護師さんがたくさんアドバイスをしてくれたおかげです。
そのアドバイスを、13の副作用別に自分でできるセルフケアとしてまとめました。参考になれば、うれしく思います。
- 副作用のセルフケア、その前に3つのポイント
- 13の副作用別、自分でできるセルフケアまとめ
- とくに注意している副作用対策、セルフケア
副作用のセルフケア、その前に3つのポイント
1.現れやすい副作用と時期を知っておく
抗がん剤の副作用が現れる時期や症状には、個人差があります。でも、知っているのと知らないのとでは心の準備・体調管理のしやすさがぜんぜん違います。
私は治療をはじめる前にパンフレット(治療ガイド)をもらって、現れやすい副作用と時期などを確認していました。パンフレットに書かれてある注意事項は、今後のセルフケアの基本にもなります。
2.体調を記録する
治療がはじまったら、体調の変化や副作用は毎日記録しました。つぎの抗がん剤治療のとき、現れる副作用の順番とか予測しやすく、セルフケアに役に立ちました。
規則正しい生活リズムを心がけていても、体調の良くないときがあります。そんなときでも、がんばってメモのような一言でOKです。
ちなみに私は、無印良品のA6方眼ノートがお気に入りです。ずっとなんでも記録しています。
3.副作用をガマンしない
私は副作用をガマンしません。ノートに記録した体調の変化は、すべて主治医や看護師さんに報告・相談して対処法があるか確認しています。
こうすることで、そもそも副作用なのか他の原因(老化など)によるものなのかわかります。症状を緩和する薬があれば処方してもらい、そのとき受けたアドバイスはすべてノートに記録。セルフケアのヒントになっています。
13の副作用別、自分でできるセルフケアまとめ
- 吐き気
- 下痢
- 便秘
- 骨髄抑制
- 口内炎
- 関節痛・筋肉痛
- 倦怠感・だるい
- 味覚障害
- 末梢神経障害
- 湿疹・肌荒れ
- 脱毛
- 鼻血
- 手足症候群
1.吐き気
- 換気・外の空気を吸う
- ゆったりした服・下着を着る
- 食後すぐ横にならない
- ゆっくり食べる
- よく噛んで食べる
- がっつり食べない
- うがい・歯みがき
とくに換気・外の空気を吸うと吐き気・むかむかが楽になって、気分もリフレッシュできました。入院中はよく散歩をし、退院後もよく公園のベンチとかに座っていました。
また体に合う吐き気止めが見つかると、その後の生活がめちゃくちゃ楽になります。吐き気止めは、ここ数年ですごく進化したと複数の看護師さんから聞いています。お試しで少量ずつ処方してもらうのがおすすめです。
2.下痢
- お腹を温める(腹巻、カイロ)
- 温かくて消化の良い食事(お粥、雑炊、麺類)
- オナラ対策にイモ類を食べない
- 脂っこいものを食べない
- 繊維質の多いものを食べない
- 辛いもの・香辛料を控える
下痢のときにお腹を冷やさないのは基本ですが、確実に効果がありました。
この中でとくに良かったのが、オナラを発生させやすい「イモ類を食べない」です。他には、カボチャ・豆類など。プーかウンチかわからない…、そういうトイレに行く回数が減ります。
下痢止めと整腸剤も処方してもらいました。すぐに下痢を止めることはできませんでしたが、整腸剤は地味にいい仕事をしていると感じました。
3.便秘
- 適度な運動
- 水分補給
- お腹を温める(腹巻、カイロ)
- 納豆、ヨーグルトを食べる
便秘は、下痢と同じくお腹を冷やさないのが基本と感じています。
便秘は今も続いている副作用で、適度な運動・水分補給は私の日課になっています。運動することは、便秘の改善を含めていろんなことに気がつきました。いまでは私の大切な生活習慣になっています。
処方してもらっている薬・水分補給については、こちらをご覧ください。
4.骨髄抑制
- うがい・手洗い
- 完全に休養する日をつくる
- たんぱく質をしっかり摂る
- ゆっくり入浴する
- 人ごみを避ける
骨髄抑制とは、白血球(好中球)が減少することです。これをコントロールする方法はなく、白血球を増やす食べものもないとのこと。
白血球が減少すると、免疫が下がって感染症を起こしやすくなります。副作用と思っていた発熱・頭痛・関節痛・下痢・吐き気・口内炎が、じつは感染症が原因ということもあるそうです。主治医に報告し、可能性があれば血液検査での判断に。
血液検査の結果、少なければ白血球(好中球)を増やす「グラン」「ノイトロジン」などG-CSF製剤を皮下注射されます。
5.口内炎
- 柔らかめの歯ブラシを使う
- 小さめの歯ブラシを使う
- うがい・歯みがき
- 食事はスープ系にする
- 食事は一口サイズにする
口内炎対策(オーラルケア)は、うがい・歯みがきを基本にしています。体調に関係なく、こまめに毎日5~6回。
口内炎ができてしまうと、食事はかなりツラいです。鎮痛剤・抗生剤を処方してもらい、口をあまり開けなくても食べられる一口サイズ・スープ系(お粥、雑炊など)の食事がおすすめです。
口内炎対策については、こちらをご覧ください。
6.関節痛・筋肉痛
- 運動・ストレッチ
- 入浴(血行促進)
- サポーター(ひじ、ひざ)
関節痛(節々の痛み)・筋肉痛は、抗がん剤の副作用の他に、安静による運動不足、風邪をひいたときに感じる節々の痛みに似たものなど、いろいろあるそうです。私は副作用+運動不足が原因で、適度な運動・ストレッチで改善されました。
痛みがひどい場合は、症状によって鎮痛剤が数種類あると聞いています。血液検査の結果(血小板など)で服用できる薬が変わるそうで、市販の痛み止めは絶対に飲まないようにしてください。
運動・ストレッチについては、こちらをご覧ください。
7.倦怠感・だるい
- 十分な睡眠
- 軽い運動・ストレッチ
- ゆったり入浴
倦怠感・だるさは、原因の特定がむずかしいとのこと。いろんな副作用(痛みや下痢など)に加え、精神的な不安で生活リズムが乱れて睡眠不足になり、疲れが取れない人も多いそうです。
ぐっすり寝る方法、倦怠感・だるさ対策については、こちらをご覧ください。
8.味覚障害
- 塩分以外で濃い味つけにする
- 亜鉛を多く含む食品を食べる
私の味覚障害は軽度で、少し濃い味つけにするだけでセルフケアができました。教えてもらったおすすめの味つけは、酸味・ワサビ・香辛料。私は、ワサビ味がお気に入りです。ちなみに、ポン酢は意外と塩分が多いのでご注意ください。
亜鉛を多く含む食品(ゴマ、貝類など)を食べると、味覚が改善されるそうです。私は改善されたのかよくわかりませんでした。サプリメントによる摂りすぎは、めまい・吐き気といった症状が出ることも。摂取量は管理栄養士さんに必ずご相談ください。
9.末梢神経障害・手足のしびれ
- 温める
- 冷やす
- 座ってできる運動
- マッサージ
私はガマンをして、数週間後に麻酔をしたように感覚がなくなった経験があります。そのときは何をしてもダメでした。唯一、温めるとほんの少しだけ感覚が戻りました。(いまは感覚が戻っています)
抗がん剤の点滴中は、冷やすと楽になることもあります。看護師さんに相談すると、蒸しタオルで温めたりアイスノンで冷やしたりいろいろ相談できます。自分に合った方法が見つかると、すごく楽になります。
末梢神経障害には有効な改善薬がなく、かなりツラい副作用のひとつです。今度は重症化する前に、手のひらのグーパー運動とかマッサージをしてみようと思います。
座ってできる運動・ストレッチについては、こちらをご覧ください。
10.湿疹・肌荒れ
- やさしい洗顔・洗浄
- ぬるま湯で洗う
- 日焼け・紫外線対策
- スキンケア
抗がん剤による湿疹・肌荒れに、有効な治療法はないそうです。皮膚科で処方される薬は一時的なもので、ぶっちゃけ言うと気休めとのこと。
私は老化とともに乾燥肌になってきましたが、顔は副作用でニキビができてオイリー肌に。低刺激・弱酸性のソープでやさしく洗顔し、保湿クリーム(ヒルドイド)を塗っています。
11.脱毛
- ショートカットにする
抗がん剤による脱毛を防ぐ方法はないとのこと。全員が脱毛するわけじゃないし、少しだけ脱毛する人はショートカットにするとわかりにくいそうです。
女性の場合、ウイッグ・つけまつ毛・帽子をご利用くださいとのこと。私は抗がん剤治療を機に丸坊主にして、白髪染めもやめ、ワッチキャップをかぶっています。ほとんど脱毛しませんでしたが…。
12.鼻血
- マスクをする
- 強く鼻をかまない
- 熱いお風呂に入らない
- 長時間うつむく姿勢をしない
- あまり重いものを持たない
- トイレで強くいきまない
使い捨てのマスクは、たくさんの医師・看護師さんからアドバイスをしてもらいました。
のど・鼻の粘膜が乾燥すると免疫機能が低下して鼻血も出やすく、とくに空気が乾燥する冬場は部屋の中でも積極的にしています。
13.手足症候群
- 保湿をする
私は手足の皮膚が乾燥して硬くなり、少しずつピリピリ・チクチクした痛みを感じる炎症が広がっていきました。
保湿するため薬を3種類処方してもらい、コットン手袋やベリーショートの靴下で保護をしています。
とくに注意している副作用対策、セルフケア
オーラルケア(口内炎対策)
たくさんあるセルフケアの中でも、オーラルケアに力を入れています。口内炎は簡単に生活の質が低下して、重大な感染症のきっかけにもなります。
- 肺炎になる可能性がある
- 痛みで眠れない
- 食事・栄養が摂れない
- 体力が落ちる
- 集中力がなくなる
でも私は、半年以上口内炎ができていません。血液検査の結果、骨髄抑制で白血球(好中球)が減っていることはあります。それでも、口内炎と同じく半年以上CRPが上昇したり発熱したことがありません。
この1年間を振り返ると、口内炎ができなくなってから体調をコントロール・キープできるようになったと思います。
もし、どのセルフケアからすれば…という人がいれば、オーラルケア(口内炎対策)からすることをおすすめします。
【まとめ】考えたこと、やったこと
- 抗がん剤のパンフレットをもらって、副作用を確認した。
- 治療がはじまったら、体調・副作用を毎日記録した。
- 副作用はガマンせず、なんでも主治医・看護師さんに聞いた。
- オーラルケア(口内炎対策)を中心に、セルフケアをした。
- その結果、体調をコントロール・キープできるようになった。
平八郎の感想 副作用・症状別にメニューを選べる本