肝臓に転移したスキルス胃がんを、抗がん剤「サイラムザ+パクリタキセル」で2年半(23クール)治療を続けました。
その治療中、私に現れた副作用の症状と対策のまとめです。それぞれの副作用に独立したページがあり、処方してもらった薬・アドバイス・工夫など詳細も確認できます。
- サイラムザとパクリタキセルについて
- サイラムザ+パクリタキセルの主な副作用
- 私に現れた主な副作用の症状と対策
サイラムザとパクリタキセルについて
RAM+PTX療法ガイドブック
サイラムザ+パクリタキセルで治療をはじめる前に、病院でガイドブックが配布されるはずです。主治医や薬剤師さんの説明と一緒に、必ずご確認ください。
- サイラムザ+パクリタキセル療法とは?
- サイラムザ+パクリタキセル療法の投与方法
- 主な副作用と対処法
- 治療中のすごし方
- 症状メモ
このガイドブックは、パソコン・スマホでも確認することができます。
- 胃がんでサイラムザ+パクリタキセル療法をお受けになる患者さんとご家族へ
(パソコン・スマホ対応PDFファイル)
私が投与した期間(クール)
サイラムザ+パクリタキセルを投与した期間は、約2年半です。途中、気胸のため入院+手術をして休薬したり、抗がん剤をTS-1だけに変更した期間が数か月あります。
治療をはじめた半年間は、体調をコントロールできずに入退院を5回繰り返しています。その後、入院+外来を含めて合計23クール続けました。
血液検査とケモった記録
白血球:低い、好中球が60%以上+体調確認をして予定通り投与、体調の変化に注意
抗がん剤、17+6クール、2週目、パクリタキセル
備考:投与直後から指先・舌にしびれ(末梢神経障害)あり pic.twitter.com/uyCm4msxoM— 平八郎@胃がんでござる (@igan4th_hey86) 2018年9月21日
3週目は白血球が低すぎて休薬となり、抗がん剤を変更するためそのまま中止に。この日がサイラムザ+パクリタキセルを投与する最後となりました。
副作用が現われるタイミング
抗がん剤の副作用には個人差があり、現れるタイミングや症状が違います。
- 投与直後
危険な症状も含まれるアレルギー反応 - 当日から
倦怠感・吐き気など、代表的な副作用 - 数日~数週間後
休薬すると症状が軽くなっていく副作用 - 数週間~数か月後
休薬しても症状が長引く蓄積性の副作用 - 例外…天候や季節により症状が変化する
「1.投与直後」のアレルギー反応で、危険な症状が現われた経験はありません。このまとめは、私が体験した「2~5」の副作用(症状と対策)をだいたい時系列にまとめたものです。
サイラムザ+パクリタキセルの主な副作用
パクリタキセルの主な副作用
- ショック、アナフィラキシー(投与直後)
- 激しい吐き気・嘔吐
- 大量に汗が出る
- 息ができないほど苦しい
- 激しい動悸がする、胸が痛い
- 極端に血圧が上昇する
- 発疹・かゆみが一気に出る
- 顔が変わるほどの腫れ、ほてり
- 主な副作用
- 関節・筋肉の痛み
- 倦怠感
- 手足のしびれ
- 味覚障害
- 口内炎
- 下痢
- 便秘
- 出血(鼻血、歯ぐき)
- 脱毛
- 貧血
- 白血球・好中球の減少
- 感染症(肺炎)
- 発熱、せき
- 吹き出もの
- 爪の変形、痛み
- むくみ(顔、手足)
など
この他にも、いろんな副作用があります。詳しくは、静岡がんセンターの説明書もご確認ください。
サイラムザの主な副作用
- 主な副作用
- 疲労、無力症
- 高血圧
- 下痢
- 鼻血
- 手足のしびれ
- 吐き気・嘔吐
- 脱毛
- 白血球・好中球の減少
- 感染症(肺炎)
- 発熱、せき
- 口内炎
- むくみ
- たんぱく尿
- 発疹、かゆみ
など
だいたいパクリタキセルと共通していて、この他にもいろんな副作用があります。詳しくは、主治医・薬剤師さんにご確認ください。
副作用とネットの情報について
同じサイラムザ+パクリタキセルの治療でも、年齢・体力・体質・胃がんのできた場所、胃がんの質などみんな違います。つまり、副作用の現れるタイミングや症状も違います。
副作用の対処は主治医のアドバイスを最優先にし、この情報は補足としてご利用ください。
私に現れた主な副作用の症状と対策
便秘
- 症状
- もっさもっさしたウンチ
- 対策
- ウォーキングなど運動をし、水分を十分に補給する
- 便秘を改善する薬の処方
・マグミット
・ミヤBM
・ガスコン
・ラキソベロン
一番最初に体感した副作用が便秘です。ウンチは硬くならず、紙ねんどのようにもっさもっさした感じです。キレが悪く、かなりいきまないと排便できません。
便秘はガスも溜まりやすく、その苦しさがストレスになったり、転移や腹水を連想してメンタル的にもダメージを受けやすい副作用です。
倦怠感・だるさ
- 症状
- 体が重い、だるい、すぐに疲れる
- 対策
- 軽い運動、ストレッチ
私の倦怠感・だるさ対策は、軽い運動・ストレッチです。血液が全身を循環し、栄養と酸素が行き渡り、疲労が早く回復するテクニックのひとつです。
また、がんの治療を続けるには体力が絶対に必要です。運動する習慣は、体力を維持するのにも役立ちます。
鼻血
- 症状
- 鼻をかんだりスンスンすると出血しはじめる
- 対策
- マスクなど基本的な対策
- 鼻の通りを改善する薬の処方
・ナゾネックス
・コールタイジン
・アレグラ(ディレグラ)
私はもともと花粉症(スギ、ヒノキ)で、治療をはじめた春は鼻水がズルズルでした。症状はTS-1よりましだけど、鼻をかむたびにティッシュの半分くらいにじむ出血があります。
私の場合、鼻血の副作用が現われるのは、空気の乾燥+花粉症の季節(12~5月)だけです。気になって集中力がなくなりやすい副作用です。
脱毛
- 症状
- まばらに抜け、一部ツルツルに禿げる
- 対策
- とくに何もしていません
私は、完全には脱毛しませんでした。目立つ頭部は、なぜか黒い毛を中心に脱毛していき、若白髪だったので意外と残っています。
ツルツルに禿げたのは、ふぐりです。訳がわかりません。以下、自粛。
白血球・好中球の減少(骨髄抑制)
- 症状
- 感染症(肺炎)や発熱しやすくなる
- 対策
- 白血球を増やす注射(G-CSF)をする
骨髄抑制には自覚症状がなく、個人でコントロールできない副作用です。血液検査の結果「G-CSF」といわれる皮下注射(グラン、ノイトロジンなど)で白血球を増やします。
骨髄抑制は症状がひどくなると、減薬、休薬となっていき、治療中止となる副作用です。私の場合、治療をはじめたころは月に1回くらいだった注射が、2年半後には毎週するようになっていました。
ニキビ、吹き出物
- 症状
- 顔、後頭部、背中にできやすい
- 対策
- 炎症を抑える薬の処方
・ダラシンTゲル1%
・エクラーローション
ニキビ・吹き出物は、体調によって出る副作用です。顔と後頭部にできるニキビは、そこそこ大きくて痛いです。
最初に処方してもらったダラシンTゲル1%(透明な軟膏)より、最近処方してもらったエクラーローションのほうが私の体に合っていてすごく効いています。
口内炎
- 症状
- 歯ぐきの腫れ、出血、発熱
- 対策
- 基本の対策
・手洗い
・水でぶくぶく、ガラガラうがい
・イソジンでうがい
・アズノールでうがい - 口内炎になったときの対策
・抗生剤の処方(ロキソニン、クラリスなど)
・ムコスタ(胃の粘膜を保護する)
口内炎は、体調管理のバロメーターにもなります。甘くみていると、食事や薬の服用ができず、簡単に体調を崩す副作用です。
口はウイルスや細菌に一番感染しやすい経路です。オーラルケアは、体調管理の基本と私は思います。
むくみ・浮腫
- 症状
- 顔、まぶた、手足のむくみ
- 対策
- アレルギーを抑える薬の処方
・アレグラ(ディレグラ)
・ポララミン
私がむくむ原因はアレルギーによるものです。鼻血対策でも服用しているアレグラ(ディレグラ)とポララミンは、抗アレルギー薬でむくみ対策でも有効です。
私の場合、治療をはじめたころは顔が少しむくむ程度でした。徐々に抗がん剤が蓄積され、まぶたが腫れすぎて逆まつ毛になったり、足首を曲げにくくなるまで症状が強くなっていました。
味覚障害(末梢神経障害)
- 症状
- 全体的に苦く感じる、甘さを感じないときがある
- 対策
- 体力を落とさないように、味つけを工夫する
- 薬の処方
亜鉛を含むプロマックD錠75
たまに味がヘンと感じていたけど、はっきり自覚したのは2年目を過ぎたころからです。味覚障害の基本の対策は、味つけの工夫です。私はカレーやワサビなど、スパイスで工夫をしています。
亜鉛の摂取が減ると味覚障害になるけど、この場合は抗がん剤の副作用です。薬を飲んでも、あまり改善は期待はできません。
手足のしびれ(末梢神経障害)
- 症状
- 手のしびれ、指先の痛み
- 対策
- 冷たいもの(温度差の大きいもの)に触れない
熱いお風呂に入らない
手足(体)の保温をする
冷たい食べものを控える
手足のしびれ(末梢神経障害)は、生活を工夫する対処療法になります。
治療をはじめた2年半前、少し手足のしびれを感じたけど、なぜか自然に改善していきました。再度しびれを感じるようになったのは、2年目を過ぎたころからです。
末梢神経障害は、抗がん剤が蓄積されると時間差で現れやすい副作用です。
その他の副作用
その他、予想される副作用を、看護師さんや薬剤師さんからのアドバイスをまとめたのが↓こちらです。
【まとめ】考えたこと、やったこと
- ガイドブックの確認。
- 予想される副作用の確認。
- なにか異変を感じたら、主治医、化学療法に詳しい看護師・薬剤師さんに相談。
- アドバイスや薬を処方してもらい、自分に合った方法に工夫していく。

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