インチキ治療さすがに、クリニックだけかと思っていたら、最近だと、大学病院や一般病院まで一部始めている。病院経営も苦しいので、インチキ自由診療のほうが、利益率が高いと踏んでいるのでしょうね。
— 勝俣範之 (@Katsumata_Nori) 2017年8月3日
勝俣先生のこのツイートをきっかけに、がん患者の立場で「先進医療と(インチキ)自由診療の違い」を見分けることはできるのか?そう思い、私なりに調べたことのまとめです。
- 先進医療・自由診療・インチキ診療の違い
- インチキ診療をしている病院
- 先進医療とインチキ診療を見分ける方法
先進医療・自由診療・インチキ診療の違い
先進医療とは
先進医療とは、厚生労働省が、3割負担の保険医療の適用を検討している医療技術のこと。患者が希望し、医師がその必要性があると判断した場合に行われます。
- 3割負担の保険医療との併用が、認められている
- ただし、先進医療に関する費用のみ全額自己負担
自由診療とは
自由診療とは、患者と病院・クリニックが合意して行われる診療のこと。厚生労働省が承認していない薬など少しでも使用すると、すべての治療が自由診療扱いになります。健康保険は適用されませんが、違法ではなく基本的にちゃんとした診療です。
- 3割負担の保険医療との併用が、禁止されている
- 法律上、費用はすべて全額自己負担になる
インチキ自由診療・インチキ治療とは
インチキ治療とは、がん患者に効果があるように思わせ「希望をしたから」治療をした、という悪質な自由診療のこと。治療費は自由に決める(言い値でぼったくる)ことができ、高額でも罪に問われにくい医師免許を悪用した診療です。
インチキ診療をしている病院
インチキ診療をしている病院がある
インチキ治療さすがに、クリニックだけかと思っていたら、最近だと、大学病院や一般病院まで一部始めている。病院経営も苦しいので、インチキ自由診療のほうが、利益率が高いと踏んでいるのでしょうね。
— 勝俣範之 (@Katsumata_Nori) 2017年8月3日
勝俣先生とは
勝俣範之(かつまたのりゆき)先生。日本医科大学、武蔵小杉病院、腫瘍内科の医長であり教授。yomiDr.(ヨミドクター)でコラムも執筆されていて、がんのインチキ診療・治療を何年も前から注意喚起する日本を代表する腫瘍内科医。
インチキ診療をしていた一般病院
効果が不確かな免疫細胞療法を患者に提供して「がん診療連携拠点病院」の申請を却下されていたのは、埼玉県上尾市にある上尾中央総合病院でした。
- 現在削除されているページ
- (2016.11)
【ウェブ魚拓】樹状細胞ワクチン療法について|上尾中央総合病院 - (2016.03)
【ウェブ魚拓】樹状細胞ワクチン療法 | 上尾中央総合病院
- (2016.11)
上尾中央総合病院はがん拠点病院申請却下!。理由は「効果が不確かで、患者に莫大な負担が生じる『免疫細胞療法』を早期のがん患者にも提供しているとホームページで謳われている。拠点病院としてふさわしいのだろうか」という強い指摘が出された。https://t.co/GeeRu0cjD8
— 勝俣範之 (@Katsumata_Nori) 2017年8月4日
国公私立の大学病院一覧
文部科学省の大学病院一覧は、最終更新が平成21年のようです。(平成20年に名称を変更した明治国際医療大学が、明治鍼灸大学のままになっています)
先進医療を行っている大学病院
先進医療は、主に大学病院で行われる治療です。大学病院の一覧と比較し、ほとんどの大学病院で先進医療も行っていることがわかりました。
- 先進医療をしていない大学病院
- 富山医科薬科大学附属病院
- 茨城県立医療大学付属病院
- 奥羽大学歯学部附属病院
- 明海大学歯学部付属明海大学病院
- 神奈川歯科大学附属病院
- 神奈川歯科大学附属横浜研修センター・横浜クリニック
- 明治国際医療大学
- 福岡歯科大学医科歯科総合病院
インチキ診療をしている大学病院
インチキ診療をしている大学病院は、私の知識では判断できませんでした。ただ、勝俣先生がなんの根拠もなく注意喚起されるとは思えません。インチキ診療をしている大学病院は、あると思われます。
一旦保留にしていた内容を公開します。このウェブ魚拓は、平成29年(2017年)8月の時点でも公開されているページです。
- (2017.03)
【ウェブ魚拓】先端細胞治療センター|診療部門|診療科・部門|信州大学 医学部附属病院 - (2016.10)
【ウェブ魚拓】免疫細胞療法 | 九州大学 先端医療イノベーションセンター - (2016.09)
【ウェブ魚拓】料金のご案内(平成26年4月1日改定) | 九州大学 先端医療イノベーションセンター - (2015.02)
【ウェブ魚拓】免疫細胞療法のご案内パンフレット|九州大学 先端医療イノベーションセンター - (2017.08)
【ウェブ魚拓】活性化自己リンパ球移入療法|川崎医科大学附属病院
「樹状細胞及び腫瘍抗原ペプチドを用いたがんワクチン療法」「自己腫瘍・組織及び樹状細胞を用いた活性化自己リンパ球移入療法」は、平成28年(2016年)4月1日に先進医療Aから取り消されています。
現在は、暫定的に一部の大学病院で行われている治療法(継続中の患者が多いため?新規受付はしていません)で、先進医療Bに移行する可能性も低いと思われます。
つまり、一時的に先進医療だった治療法を、大学病院というブランドを利用して自由診療していることに勝俣先生はインチキと注意喚起しているのではないか?と思います。
この他にも「免疫療法につては主治医にご相談ください」など、あいまいな表現をホームページに記載している大学病院もあります。
この記事↓も参考になります。ぜひご覧ください。
先進医療とインチキ診療を見分ける方法
先進医療とインチキ診療の違い
「腹水細胞診により遊離がん細胞が認められる進行性胃がんに対して行われるパクリタキセル腹腔内投与及び静脈内投与並びにS-1の内服併用療法」という治療方法があります。
とか言われても、先進医療なのかインチキ診療なのかぜんぜんわかりません。なので、治療方法を変更するときは「3割負担の保険医療」が併用できるか確認するのがポイント。併用できれば先進医療です。
- 先進医療
- 3割負担の保険医療との併用が、認められている
- ただし、先進医療に関する費用のみ全額自己負担
- インチキ診療
- 3割負担の保険医療との併用が、禁止されている
- 法律上、費用はすべて全額自己負担になる
勝俣先生によるインチキ診療の見分け方
- ○○免疫クリニック、最新○○免疫療法
- “○○%の患者に効果がある”という文句
- 体験談が掲載されている
- 保険が利かない高額医療
- “奇跡の○○治療”“末期がんからの生還”というキャッチコピー
2つ以上当てはまると、インチキは確実
引用「抗がん剤は効かない」の罪(P163)
これは主にクリニックの場合で、がん診療連携拠点病院・大学病院では「先進医療のような治療」と説明してインチキ診療を行ったりするかもしれません。
インチキクリニックを見分ける3つのポイント。1.がんが消えた治ったとの謳い文句、2.保険が効かない自由診療、3.体験談が載せられている。皆さん、気をつけてください。
— 勝俣範之 (@Katsumata_Nori) 2017年9月14日
大切なこと
がんの治療に効果があると認められれば、すぐに先進医療 → 3割負担の標準治療に承認されます。インチキ自由診療は治療費が高いとかいう以前に、その効果を期待できません。
インチキ療法クリニックは、全国で300以上あります。数千例のデータがあると豪語しているクリニックもあります。数千人やっても効果が証明できないとはどういうことでしょうか?かたや、本物の免疫療法ニボルマブは、582人のデータで承認。 https://t.co/VJQEjAf18g
— 勝俣範之 (@Katsumata_Nori) 2017年8月3日
【まとめ】考えたこと、やったこと
- 先進医療・自由診療・インチキ診療の違いを確認した。
- 治療方法を変更するときは、全額負担の範囲を確認する。
- 3割負担の保険医療を併用できれば先進医療。
- がん診療連携拠点病院・大学病院でも、インチキ診療で高額な請求をする可能性がある。