がんの治療【選択と後悔】もし家族が残されたら…、私がしていること

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肝臓に転移したスキルス胃がんの治療を続けて3年、抗がん剤も一次、二次、三次と進み、少しずつ追い詰められています。

まだ治療方法は残っているけど、嫁が遺族になったときのことも考えるようになりました。私にできることはなにか?考え続けていることです。

  1. 合理的な選択
  2. 私がしていること
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合理的な選択

質問

どちらを選びますか?

たとえばの話です。

がんが完治し、再発もしない抗がん剤が2つ開発されました。でも、リスクがあります。あなたなら、どちらを選びますか?

  1. 80%の確率で、残りの寿命が7年短くなる
  2. 100%の確率で、残りの寿命が5年短くなる

選んでから、以下をお読みください。

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期待値

数値化すると合理的な選択もできる

この質問は、期待値を数値化して合理的な選択をすることができます。

【期待値】
得られる可能性がある値×その確率

  1. 7年×80%=期待値は5.6年
  2. 5年×100%=期待値は5年

この質問の場合、期待値とはリスクのことです。つまり、失う寿命が多いのは1の抗がん剤で、2の抗がん剤を選択するほうが合理的といえます。

傾向

人は合理的な判断ができない

心理学に基づき行動経済学を発展させ、ノーベル賞を受賞したダニエル・カーネマンは、実験・研究の結果から「人はリスクがある選択をするとき、ギャンブル的な方法(1の抗がん剤)を選んでしまう傾向にある」と言っています。
Wikipedia プロスペクト理論

また、質問の内容を「寿命が延びる薬が開発された」と置き換えた場合、延びる寿命が短い(合理的でない)2を選択する人が多いと思います。

  1. 80%の確率で、残りの寿命が7年長くなる
  2. 100%の確率で、残りの寿命が5年長くなる

つまり、人は「合理的な判断ができない」というのがカーネマンの結論です。

もちろん、合理的な判断が正しい判断ということではありません。どちらも選択しないこともできるし、なにが幸せで最善なのかは本人が決めることです。

でも、リスクのある選択を迫られたとき、あとで後悔しやすい(ギャンブル性の高い)選択をしてしまう傾向にあることを知っておいたほうが、冷静で客観的な判断につながると私は思います。

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私がしていること

遺族の人と会ってわかったこと

多くの人が後悔している

がんサロン等で遺族の人にお会いし、時間が経っても多くの人がいろんなことに後悔して苦しんでいることを知りました。

失敗したくない、間違いたくないと誰もが思います。でも、過去に戻って選択し直すことができない以上、それが最善だったのか確認することはできません。

もし私が先に逝ってしまったら、遺族となった嫁もなにかを後悔しながら生きていくことになるだろうと思います。でも私は、嫁に治療方法や結果にできる限り後悔したり苦しんでほしくないと思っています。

後悔とは

自分のしてしまったことに後悔する

【後悔】
自分のしてしまったことを、あとになって失敗であったとくやむこと。
goo国語辞書 後悔(こうかい)の意味

後悔を辞書で再確認すると、自分で決断したから時間が経っても後悔や罪悪感に苦しみ、その後の人生が囚われやすいことでした。

私がしていること

(1)二人で相談して選択・決断する

後悔の意味を逆に考えると、他人のした失敗に対して後悔するのはむずかしいと思います。

なんでも嫁と相談して選択・決断すれば、結果の半分は私の責任です。嫁はいい意味で半分を私のせいにし、納得できれば後悔も半分になるのでは?と思っています。

なので、わが家ではレシピや食材も二人で相談して決めています。そうすることで、嫁が「私のつくった料理が悪かった」「私の選んだ食材がダメだった」と執拗に苦しまなけれいいなと思っています。

(2)つねに最善の選択・決断と思う

もっといい方法があったことを、あとで知ることもあると思います。でも、そのときは知らなかったので選ぶことはできません。

だからわが家では、そのとき選んだことが最善だったと考えるようにし、つねに嫁にも自分にも言い聞かせています。

また、情報はある程度集まれば十分と考え、行動するようにしています。情報は集めぎると整理も選択もできなくなるし、ネットで何日も検索するのは、ただ座って時間をムダにしているだけと思っています。

もし情報を集めたいなら、がん相談支援センター等で助けてもらうほうが正確な情報を必要なだけ集めることができると思います。

治療のペースをつかんで闘病生活に少し慣れてきたころ、私たち夫婦は突然がんの治療を続けていく限界を感じて自信を失いました。 それぞれ一人で考え込む時間が長く...
スキルス胃がん+転移性肝がんの治療を続けて2年。ネットでもいろんな情報を知ることができました。 たくさんの人にサポートをしてもらえるようになり、いろんな患...

(3)最後のときの希望を伝えておく

もし終末期の緩和治療の段階になったら、私は嫁が側にいてくれるだけで十分です。どうしてほしいのか伝えることで嫁は迷いがなくなり、あとで後悔しやすい選択をして時間を失うこともありません。

  • 生きているものはいつか死に、形あるものはいつか壊れる。
  • これでいい、側にいるだけでいい。

今はまだその段階ではないので、この2つをそれとなく伝え続けています。

私は、肝臓に転移したステージ4のスキルス胃がんです。いまは抗がん剤で余命の砂時計は止まっているけど、人生の残り時間は長くないと考えています。 その限られた...

【まとめ】考えたこと、やったこと

  1. リスクのある選択を迫られたとき、あとで後悔しやすい選択をする傾向にある。
  2. 遺族の人は、時間が経っても多くの人がいろんなことに後悔して苦しんでいる。
  3. もし嫁が遺族になったら、できる限り後悔せず苦しまない配慮をしていく。

毎日更新【病院で聞けない】がんの話

最後までご覧いただき、ありがとうございました。
どんな情報・知恵・工夫・アイデアでも、ご存知の方はこの記事にコメントまたは連絡・お問い合わせから教えていただけると助かります。よろしくお願いいたします。

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