余命、半年。
2016年4月、このとき私に残された人生の時間でした。病名は、ステージ4(末期)の進行性胃がん。4型に分類される悪性度の高いスキスル胃がんで、症状が現れにくく発見が遅れやすい胃がんです。
がんは当然のように肝臓へ転移し、正常に機能していないほど進行していました。
入院後、すぐに生検
ピロリ菌はいなかった
出血性胃潰瘍で入院した翌日、胃の中にある止血クリップを取りました。胃カメラを使って止血の確認と同時に、生検のため胃の一部を採取するためです。
平八郎さん。ピロリ菌、おらんかったよ!(いなかったよ)
その日の夕方、主治医のY先生が明るい声で教えてくれました。
がんは、必ず生検を通して診断されます。結果は数日かかりますが、ピロリ菌は数時間でわかります。ピロリ菌といえば、胃潰瘍や胃がんの原因の一つとされる菌。その有無をいち早く伝えてくれたのは、Y先生の優しい心遣いでした。
Y先生は経験豊富な医師なので、わたしの胃を見た瞬間にがんを疑ったことでしょう。ところが、ピロリ菌がいなかったことで胃がんの可能性が低くなったわけです。
この段階では、先生は立場上なんとも言えません。それでも、そんなに心配したり落ち込まなくていいですよ。そう暗黙のうちに伝えてくれたのでした。
貧血の回復を待って退院
胃からの出血で、入院当初は貧血でフラフラ。普通に立つことすらコントロールできず、トイレ(小)も個室で座りションをするほど。そのため、貧血の原因であるヘモグロビンの数値が回復するのを待って退院することになりました。
ヘモグロビンの数値は、血液検査ですぐにわかります。
基準値は、13.6-16.8 g/dL。
10.0 g/dL以下になると、ひどい貧血と診断されます。わたしが入院したときの数値は、7.0 g/dLでした。その後、
9.5 g/dL
10.9 g/dL
11.4 g/dL
と約1週間でなんとか回復。生検の結果を聞くため外来の予約をし、退院となりました。入院中、退院後に貧血で注意したことは、こちら↓をご覧ください。
胃がんと余命の宣告
後日、生検の結果を聞くために嫁と二人で診察室へ入りました。その瞬間、主治医の顔を見てすべてを悟りました。
オレ、がんなんや…。
生検の結果
診察室に入ると、すぐに主治医のY先生は
お腹をエコーで見るから、ちょっと横になってくれる?
モニターを見ながらチェックする先生の顔が、さらに険しくなっていったのを覚えています。長い沈黙のあと
平八郎さん、生検の結果はスキルス胃がん。いまエコーで見させてもろたけど、肝臓にも転移してるなぁ…
横で座っていた嫁の声にならない声が聞こえ、手が震えているのが見えました。
これは、この直後に撮った肝臓のCT画像です。黒くモヤッとした斑点が、多発した転移性肝がん。もはや手術は不可能な状態でした。
余命の宣告
(余命は、あと)どれくらいですか?そう聞いた私に
………、半年。
Y先生はぽつりと答え、再入院は明日でも明後日でも早いほうがいい。そうつけ加えたことが、ことの重大さを物語っていました。そして
まだ若いのに…
いろんな意味を含む、思わず出てしまった独り言。これがY先生の本音で、スキルス胃がんに加えて肝臓のダメージも大きく、実は余命1か月もありえたと半年後に教えてもらいました。
そして再入院を1週間後と決め、二人で病院を後にしました。
あとがき
この日病院へは、リハビリも兼ねて電車で行ってました。駅までの道のりを、二人で手をつないだまま無言で歩き続けました。帰り道は、それ以外に覚えていません。
これが2016年4月の話しです。あれからいろんなことを考え、実践し、私は順調に回復しています。その後、がんはどうなったのか?CTの比較画像など公開しています。
コメント
先日は、急な連絡に対応して頂きありがとうございました。母とは別居の為、体調が気になり家を空けておりました。返信が遅くなり大変申し訳ありません。現在、本人への告知後への対応、セカンドオピニオンについて色々と家族で考えているところです。毎日が早く、不安でなりません。本当にありがとうございました。
ソウタさま、コメントありがとうございます。
ご家族のみなさまも第二のがん患者といわれ、看病疲れとメンタルのコントロールが必要になってきます。
体調を崩さないようお気をつけくださいませ。
お母さまの一日もはやいご快復を、切に願います。
平八郎
平八郎様
初めまして。
「胃がん ステージ4」と検索をかけたらこちらのブログに辿り着きました。
私の父もつい先日個人病院で胃がんと診断され、先週総合病院に入院しました。
総合病院では診断書に胃潰瘍と書かれており、「個人病院と言っている事が違うけど、どっちが本当なんだろう?」「胃潰瘍ならまだ助かる見込みがあるのでは…」と少しながら期待を抱いておりました。
ですが、今日母が病院に行ったところ「進行性の胃がんでステージ4だよ。」と言われ、少なからずの希望が薄れてしまいました。。。
水曜に胃のバイパス手術を行い、食事ができるようにし抗がん剤の治療を行う、との事らしいです。
その治療が父に合うかどうかも分かりません。
まだ父に会っていないから分かりませんが、本人は胃潰瘍と思っていて(もしかしたら今日胃がんと通告されたかもしれません)、でも周りは胃がんの末期と分かっている…
ブログを全部読んでいないのですが、こんな事を聞いたら失礼かもしれませんがm(__)m平八郎さんは他に転移していなかったのですが?
やはり治療法はステージ4でも、抗がん剤を行うだけなのでしょうか?
何だか文章にまどりがなくてすみません。。。
ゆかさま
はじめまして、こんにちは。コメントありがとうございます。当ブログを運営・管理している平八郎と申します。
お父さまのこと、ご心配だと思います。手術が無事に成功し、一日もはやいご快復をお祈り申し上げます。
私ががんと診断されたときは、すでに肝臓へ転移していました。手術は不可能な状態で、抗がん剤で治療することを選択しました。
抗がん剤はすべてのステージで使われる薬です。進行状況により抗がん剤だけの治療、ある程度小さくしてから摘出手術を視野に入れた治療など、いろんな方法が考えられます。今後の治療方針など、お母さま、主治医にご確認くださいませ。
これからお父さまのサポート、頑張ってください。微力ながら応援いたします。
今後ともよろしくお願いいたします。
平八郎
平八郎様
夜分遅くにすみません…
お返事ありがとうございますm(__)m
色々と詳しくありがとうございます。
私も今日の手術が無事成功する事を願ってます。
今はできるだけ父のお見舞いに顔を出しに行こうと思います。
又突然コメントするかと思いますが、その時は宜しくお願い致しますm(__)m
ゆかさま、こんにちは。
コメントありがとうございます。
いつでもお気軽にコメントをくださいませ。今後ともよろしくお願いいたします。
平八郎